キャリアアップ助成金 ”正社員化コース”を解説

こんにちは。東京都助成金サポートセンターです。
こちらのコラムでは毎回、皆様にとって役立つ助成金の情報をお伝えしていきます。
前回のコラムでも述べた通り、今回はキャリアアップ助成金の各コースについて解説していきます。
今回ご紹介するのは「正社員化コース」です。
1.キャリアアップ助成金正社員化コース
前回解説した通り、キャリアアップ助成金とは
いわゆる「非正規雇用労働者」の企業内におけるキャリアアップへの取組を実施した事業主に対して助成金が給付される制度です。
そして、今回の正社員化コースは
就業規則等に規定した制度に基づいて、非正規雇用労働者を正規雇用労働者等に転換・直接雇用した場合に助成金が給付される制度です。
契約社員やパート社員などは不安定な雇用にある労働者のため、正社員や契約期間を設けない安定した雇用へ転換することにより、
モチベーションアップ=生産性向上につなげる
ことがこの助成金の目的です。
2.支給要件
まず支給の対象となる従業員については以下のいずれかにあてはまることが条件となります。
- (支給対象となる事業主に)6ヶ月以上雇用されている有期契約労働者
- (支給対象となる事業主に)6ヶ月以上雇用されている無期雇用労働者
- 6ヶ月以上継続して同一の業務に従事している派遣労働者
- 支給対象となる事業主が実施した有期実習型訓練を受講し、それを修了した有期契約労働者等正規雇用労働者として雇用することが約束されて雇用された有期契約労働者等でないこと
尚、有期契約労働者から転換する場合、雇用された期間が3年以内の方に限定されます。
また事業主に対しては
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
- 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること
- 転換前の賃金と比べて、転換後の賃金を5%以上UPさせていること
- キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること
ちなみに、個人事業主でも助成金の対象になります。
個人事業の場合、雇用保険(及び労災保険)のみの加入で助成金の対象になりえますが、
個人であっても特定の業種に該当する場合は5人以上雇用すると社会保険に加入しなければならないので、
雇用保険+労災保険+社会保険に加入する必要があります。
法人の場合は雇用保険と社会保険に加入している必要があります。
3.支給金額について
〇中小企業
- 有期雇用 → 正規雇用 : 1人当たり57万円 【72万円】
- 有期雇用 → 無期雇用 : 1人当たり28.5万円 【36万円】
- 無期 雇用→ 正規雇用 : 1人当たり28.5万円 【36万円】
〇大企業の場合
- 有期雇用 → 正規雇用 : 1人当たり42.75万円【54万円】
- 有期雇用 → 無期雇用 : 1人当たり21.375万円【27万円】
- 無期雇用 → 正規雇用 : 1人当たり21.375万円【27万円】
※中小企業事業主について対象は以下範囲の事業主です。
小売業(飲食店含む):資本金5,000万円以下または常時雇用する労働者が50人以下
サービス業 :資本金5,000万円以下または常時雇用する労働者が100人以下
卸売業 :資本金1億円以下または常時雇用する労働者が100人以下
その他の業種 :資本金3億円以下または常時雇用する労働者が300人以下
前回解説した通り、キャリアアップ助成金には「生産性要件」をクリアした際に助成金が上乗せされます。
【】内が生産性要件クリアの場合の金額です。
生産性の算出は、
営業利益+人件費+減価償却費+賃借料+租税公課の合計金額を雇用保険の被保険者数で割ったもの。
その数値を3年前の決算と比べて6%以上伸びていればクリアとなります。
尚、平成30年4月1日より
キャリアアップ助成金正社員化コースは1事業所ごとに最大20人まで受給可能となりました。
総額で年間最大1,440万円が受給可能です。
4.申請方法
①キャリアアップ管理者を配置
↓
②キャリアアップ計画を作成して最寄りのハローワークに届出
↓
③就業規則等を整備
↓
④併せて、雇用契約書、出勤簿、賃金台帳を作成
↓
⑤事業所の労働局より認定通知が送付される
↓
⑥正規雇用労働者等へ転換します。
↓
⑦転換して6か月間分の賃金を支給したら2か月以内に最寄りのハローワークへ支給申請
以下は注意点となります。
- 支給申請書などの内容によっては審査に時間がかかる
- 都道府県労働局に提出した支給申請書と添付書類の写し等は支給決定されたときから5年間保存しなければならない
- 本助成金は同一の雇入れ、訓練を対象として2つ以上の助成金等が同時に申請された場合、同一の経費負担を軽減するために2つ以上の助成金等が同時に申請された場合は双方の助成金の要件を満たしていたとしても一方しか支給されないことがある
- 本助成金は国の助成金制度のひとつであり受給した事業主は国の会計検査の対象となることがあり、検査の対象となった場合は協力を行う
- 助成金制度については要件等が変更になる場合があるため取組を実施する際は最新の要件等について事前に管轄の労働局またはハローワークへ問い合わせること
いかがでしたでしょうか。
本助成金は必要な要件も比較的とりかかりやすくなっています。
労働者の新規雇い入れ・有期契約労働者の無期雇用労働者への切り替え・アルバイトの正社員転換・派遣労働者を直接雇用へ切り替え
などを考えている方はキャリアアップ助成金正社員化コースを是非ご利用ください。
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