こんにちは。東京都助成金サポートセンターです。

こちらのコラムでは毎回、皆様にとって役立つ助成金の情報をお伝えしていきます。

 

4月から約2ヶ月が経ちました、そろそろ新しく入られた社員の方も職場環境に馴染んだ頃かと思います。
企業にとっては、せっかく入ってもらった人材には会社の戦力として長く携わってもらいたいですよね。

それには社員の方が自らやる気を起こす、モチベーションが上がる環境を整えることが、非常に重要です。
先輩や上司との人間関係・コミュニケーション、教育制度等、社員のモチベーションを上げる要素としては様々なものがあり、どれも大切なものですが、社員の方がいわゆる非正規雇用だった場合には「正規社員として雇用される」というキャリアアップが本人のモチベーションの維持に大きな影響を与えるかと思います。
キャリアアップ助成金のコースの一つに「正社員化コース」があります。

非正規雇用を正規雇用に転換、または直接雇用した場合に助成金が受給できるコースで雇用の安定化を目的として作られたものです。
今回は正社員化コースについて説明しますので是非ご参考にしてください。
過去の記事でも支給要件や手続きについて解説していますので、ご参考にしてください。

当記事では支給金額についてより詳しく解説いたします。
参考:キャリアアップ助成金 ”正社員化コース”を解説

 

1.キャリアアップ助成金正社員化コースとは


まず、キャリアアップ助成金は、パートタイマーやアルバイト等のいわゆる非正規雇用として働く従業員に対して、正社員への転換や賃金制度の改定、健康診断等の制度導入などに取り組み、非正規社員に関する処遇改善に努めた事業主に対して助成金が支給される制度です。
そのキャリアアップ助成金の1コースであるキャリアアップ助成金正社員化コースは、非正規雇用の社員を正規雇用として転換・直接雇用した事業主に助成金が支給される制度です。

 

2. 正社員化コースの取り組み


正社員化コースでは非正規雇用従業員のキャリアアップとして以下いずれかの取り組みを行います。

①有期契約社員を正規雇用社員として雇う

②有期契約社員を無期契約社員として雇う

③無期契約社員を正規雇用社員として雇う

理想的なキャリアアップとしては①ですが、契約期間の定めのない無期契約社員として雇用した後に、正社員として雇用するといった段階的なキャリアアップもできます。

 

3.支給金額


キャリアアップ助成金正社員化コースにおいては、企業規模は関係なく支給要件をクリアすれば助成金を受給できます。
ただし、受給する金額自体は企業規模によって異なります。

具体的には中小企業であるかないかで変わります。
各業種とそれぞれに中小企業として該当する条件は以下の通りですので、ご自身の会社が当てはまるかどうかチェックしてみてください。

中小企業とは

参考:中小企業庁HP 中小企業・小規模企業者の定義
もうひとつ受給額が変わる要素として「生産性要件」をクリアできるかどうかがあります。
生産性要件とは、生産性向上のための施策を検討・実施し、効果が認められた場合には助成金が上乗せで支払われます。
生産性は、

(営業利益+減価償却費+賃借料+人件費+租税公課)/雇用保険の被保険者数

という式で算出され、3年前の決算時の数値と比較して6%以上伸びていれば要件クリアとなります。
参考:厚生労働省HP 生産性要件について
以上を踏まえた上で、受給される金額は以下となります。

中小企業の受給額

※【】内は生産性要件クリアの場合

有期雇用→正規雇用 : 1人当たり57万円【72万円】

有期雇用→無期雇用 : 1人当たり28.5万円【36万円】

無期雇用→正規雇用 : 1人当たり28.5万円【36万円】

中小企業以外の受給額

※【】内は生産性要件クリアの場合

有期雇用→正規雇用 : 1人当たり42.75万円【54万円】

有期雇用→無期雇用 : 1人当たり21.375万円【27万円】

無期雇用→正規雇用 : 1人当たり21.375万円【27万円】

 

4.支給金額の他の加算要素


キャリアアップ正社員化コースには前述した要素以外にも受給額が加算される場合があります。

 

(1)派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者または多様な正社員として直接雇用した場合

有期雇用→正規雇用、無期雇用→正規雇用に該当するケースなら1人当たり28万5,000円【36万円】が加算されます。

※【】内は生産性要件クリアの場合
※企業規模関係なく同額
ここで言うところの多様な正社員とは、いわゆる正規社員とは違い、配置転換や転勤、仕事内容や勤務時間などの範囲が限られた正社員のことを指します。

エリア限定社員等がこれに当たります。

 

(2) 母子家庭の母等や父子家庭の父を転換した場合

この場合は、有期雇用→正規雇用なら1人当たり95,000円【12万円】

有期雇用→無期雇用、無期雇用→正規雇用であれば47,500円【60,000円】が加算となります。

※【】内は生産性要件クリアの場合
※企業規模関係なく同額

 

(3)若者雇用促進法に基づく認定企業が35歳未満の者を転換等した場合

有期雇用→正規雇用なら1人当たり95,000円【12万円】

有期雇用→無期雇用、無期雇用→正規雇用であれば47,500円【60,000円】

※【】内は生産性要件クリアの場合
※企業規模関係なく同額
若者雇用促進法に基づく認定企業はユースエール認定企業と呼ばれ、若者の採用に積極的で人材育成に力を入れ、かつワークライフバランスを大切にしてくれる企業として厚労省に認可された企業です。

認可を受ければ、ハローワークなどで重点的に採用PRを実施してもらえます。

 

(4)勤務地・職務限定の正社員制度を新しく規定の上、有期契約労働者等を当該雇用区分に転換または直接雇用した場合

有期雇用→正規雇用、無期雇用→正規雇用であれば1事業所当たり95,000円【12万円】

※【】内は生産性要件クリアの場合
※中小企業でなければ受給額は71,250円【90,000円】

非正規社員のキャリアアップ

 

5.まとめ


キャリアアップ助成金は他の助成金と比べて取り組む内容がとてもわかりやすい故に人気の助成金です。

中でも、正社員化コースは加算要件も多く、1年度1事業所あたり20人まで申請できるため、上手く活用できれば多くの助成金を受給した上で社内の戦力アップを行うことができます。
非正規社員を抱えている事業主の方は新しい雇用制度整備を始めるきっかけとして、是非申請をご検討ください。

 

キャリアアップ助成金正社員化コースやその他の助成金への申請をお考えの方は、東京都助成金サポートセンターまでご相談ください。