2019年度版キャリアアップ助成金諸手当制度共通化コースを解説

こんにちは。東京都助成金サポートセンターです。
こちらのコラムでは毎回、皆様にとって役立つ助成金の情報をお伝えしていきます。
キャリアアップ助成金のコースの一つに「諸手当制度共通化コース」があります。
こちらも他のコースと同様に非正規雇用の方の労働環境を整え、定着率を上げるための制度です。
今回は諸手当制度共通化コースについてご説明しますので是非参考にしてください。
※過去の記事でも支給要件や手続きについて解説しています。
1.キャリアアップ助成金諸手当制度共通化コースとは
キャリアアップ助成金諸手当制度共通化コースとは2017年に設立されたキャリアアップ助成金の1コースで、自社で雇用する非正規社員について正社員と共通の諸手当に関する制度を新しく整備し、適用した事業主に支給される助成金です。
他コース同様に非正規労働者の処遇改善に努める企業を支援する目的で作られました。
手当を一律で上げることは資金繰りが困難な中小企業等にとっては負担になりますが、それを緩和するための助成金といえます。
また、各種手当は賃金同様にお金に関するものなので、あるのとないのとでは従業員のモチベーションに大きな影響を与えます。
手当の制度が充実すれば、非正規社員の定着率もあがり、生産性も向上するという狙いがあります。
2. 諸手当制度共通化コースの取り組み
諸手当制度共通化コースでは自社の有期契約労働者に対して正規従業員と同じ諸手当制度を作成・適用し、処遇改善を行います。
対象の諸手当制度は下記11個のいずれかになります。
①賞与…一般的にボーナスと言われるものです。労働者の勤務成績に応じて支給されます。
②役職手当…管理職等の役職の重さに応じて支給される手当。
③特殊作業手当・特殊勤務手当…高所作業や爆発物取り扱い等、困難である特殊な勤務に適応される手当。
④精皆勤手当…無欠勤もしくは欠勤が少ない場合に支給されることが多い手当(日数は事業主が決定)。出勤奨励を目的としています。
⑤食事手当…勤務時間内の食費支出を補助する手当。
⑥単身赴任手当…単身赴任者の負担を軽減するための手当。
⑦地域手当…複数地域に事業所がある場合、特定地域に勤務する労働者について、勤務地物価や生活様式の地域差等に考慮して支給されます。
⑧家族手当…扶養親族がいる場合、扶養親族の続柄や人数等に応じて支給されます。
⑨住宅手当…居住用の住宅(貸間を含む)や単身赴任で扶養親族が居住するための住宅を借り受け・所有する労働者について、家賃の金額等に応じて支給が行われます。
⑩時間外労働手当…法定の労働時間の超過分に対して割増賃金として支給される手当です。
⑪深夜・休日労働手当…休日の労働に対する割増賃金として支給される手当もしくは午後10時から午前5時までの労働に関しても支給されます。
上記の諸手当制度は全ての有期契約労働者等と正規雇用労働者に適用させた(共通化した)上で6か月以上運用しなければなりません。
また、
①については6か月分相当として50,000円以上支給しなければなりません。
②~⑨についての手当については、1か月分相当として1つの手当につき3,000円以上支給されること。
⑩⑪については、割増率を法定割合の下限に5%以上加算して支給する必要があります。
手当があるからといって給料を減額したり、一部の有期契約社員に適用しなかったりすると支給の対象外となりますので、注意してください。
また、諸手当はいずれも現金にて支給された場合に限ります。
クーポン券や商品券等によって支給された場合は対象外となってしまいます。
3.支給金額
キャリアアップ助成金諸手当制度共通化コースも支給要件をクリアすれば助成金を受給できますが、支給金額は中小企業であるかないかで異なります。
また生産性要件をクリアすると増額となります。
以上を踏まえた上で、受給される金額は以下となります。
中小企業の受給額
※【】内は生産性要件クリアの場合
1事業所当たり : 38万円【48万円】
中小企業以外(大企業)の受給額
※【】内は生産性要件クリアの場合
1事業所当たり :28万5,000円【36万円】
尚、1事業所当たり1回のみの受給となります。
4.支給金額の他の加算要素
諸手当制度共通化コースにも助成金の加算要素があります。
まず、諸手当制度が共通化した対象労働者(2人目以降)について、助成額が加算されます。
中小企業の場合1人当たり15,000円【18,000円】(大企業の場合12,000円【14,000円】)支給され上限20人まで対象となります。
ただし、加算対象は、対象労働者が最も多い手当1つのみとなります。
また、共通の諸手当を1つ目の手当と同時に導入して支給した場合、2つ目以降の諸手当が加算の対象となります。
諸手当の数1つ当たり中小企業の場合16万円【19.2万円】(大企業なら12万円【14.4万円】)支給され、上限10手当まで可能です。
文章だけだとわかりづらいので以下の図で解説します。
この場合、精皆勤手当が共通化した1つめの手当で該当の企業が中小企業と仮定すると
人数加算については、最も対象労働者が多い諸手当のみとなるので、上図では2人目以降の対象者がC,Dさんの2名で最も多い精皆勤手当が対象となります。
人数加算は1.5万円×2人=3万円となります。
また、1つ目の手当である精皆勤手当と同時に導入した手当は家族手当と住宅手当となり
16万円×2つ=32万円が加算となります。
38万円の受給に加えて35万円の加算が加わり受給額は73万円となります。
引用元:厚正労働省HP キャリアアップ助成金のご案内
5.まとめ
正社員化コース同様、諸手当制度共通化コースも非正規である社員の処遇改善のための助成金です。
諸々の手当が正社員と同じになるのであれば、非正規の従業員のモチベーションもあがりますよね。
上手く活用することで助成金を加算させて受給することも可能ですので申請をご検討されてみては如何でしょうか。
キャリアアップ助成金諸手当制度共通化コースやその他の助成金への申請をお考えの方は、東京都助成金サポートセンターまでご相談ください。